研医会通信  236号 

 2024.12.24

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研医会図書館は近現代の眼科医書と医学関連の古い書物を所蔵する図書館です。
この研医会通信では、当館所蔵の資料をご紹介いたします。

今回は 『龍樹菩薩眼論』です。

 図1  『龍樹菩薩眼論』写本 1冊

 

 

   今月は、久しぶりに眼科の本に戻って、インドのナーガールジュナの名前をつけられた眼科の写本を取り上げます。

 まずは、その項目をご紹介します。

 

眼疾因起 第一

謬誤失理 第二

應状冝治 第三

〇(きへん+片)理誡約 第四

開内障眼用針法 第五

鉤割及鍼鎌法 第六

療眼後禁忌慎護 第七

治小児眼條例 第八

 

辨諸般眼病疾不同随状所療三十篇

第一 ~ 第三十

療眼湯丸散煎膏方

又方

又連頭刺骨痛不可忍生障涙出等方

又小単方眼暴熱痛生障用此薬

療眼生黒花或頭旋暗変欲成青盲瞳人微開等飲子

又黒花労熱即発用此薬

因患後起早労衝風眼暗生花体弱退熱飲子方

洗眼方療眼赤腫痛開不得及瀝涙並宜洗

又方

又方

眼熱腫痛閉〇(力みっつ+おおがい)方

療眼諸熱不得見日涙出生翳或時散動青箱子丸方

療青盲昬後或生翳見花等空青丸

療虚熱眼暗鎮肝決明丸方

療赤眼生翳頭面多風涙出酒服決明散子方

療眼赤風涙爛痒積久翳生息肉等通用丸子方

還晴散療盲障翳積熱但瞳人未破即得

七宝散眼翳障赤痒熱爛方

療眼赤爛冝洗方

療眼痛涙出或腫痛無定其疾因肝熱所致冝服空青丸

療諸眼疾補肝散

補暖還晴丸

療一切眼點之立差方

療青盲等眼空青漿方

療虚風見物若花蠅者

療眼補肝湯方

寫肝湯方

七宝散子治外障服翳膜漸生

治衝風涙出冝用當風散

清涼散煎治眼昬暗生暴翳冝用此方

白涼散煎治浮翳障

治眼昬暗夜視不明冝服析〇(ウかんむり+具)丸

茺尉子丸治熱疾後眼翳及疼痛方

黄涼散煎

 

龍樹菩薩眼論

 

 以上のように、最初には理論が置かれ、あとには処方が列挙されています。

 

 最後の「龍樹菩薩眼論」は多紀元堅の識語で、この本が朝鮮の『医方類聚』に収載されており、龍樹菩薩(ナーガールジュナ)が眼疾をよく治したという伝説から、仮託されてこの書名がつけられた、とあります。また、この本の大元にはペルシャの医方など隋唐時代に伝えられたのではないか、ということなどが書かれています。「白香山病眼詩」「龍樹眼論 一巻」「龍猛善閑医薬」「龍樹菩薩薬方 四巻」などの書名も挙げられていますが、それぞれどのようなものであったか、調べたいことはたくさんあります。

 

 また、この本には「濱松小書巣/内田貞蔵書」の蔵書印が巻頭と最後の頁に押してあります。

 

 

    図2  同本 表紙

 

   図3  同本 巻末の多紀元堅の識語