研医会通信  234号 

 2024.10.25

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研医会図書館は近現代の眼科医書と医学関連の古い書物を所蔵する図書館です。
この研医会通信では、当館所蔵の資料をご紹介いたします。

今回は 『多賀城碑ならび 坪石図』(諸社、諷歌抜粋)です。

 

 『多賀城碑ならび 坪石図』(諸社、諷歌抜粋)

 

 今朝、電車の中で「多賀城創建1300年」というポスターを見かけました。これを見て、書庫の棚に「多賀城」の文字の入った本があったことを思い出したので、確認したところ、「つぼのいしぶみ」として、芭蕉も句に詠んだという石碑についての資料でした。ウェブで検索すると、宮城県多賀城市ではこの秋に多賀城南門の復元や記念行事、展覧会を用意していることがわかりました。

 11月1日には「古代国家形成の上で重要な役割を果たし、宮城のはじまり、東北のはじまりとも言える「多賀城」の創建1300年を多くの方々と迎える記念式典」(同ウェブサイト https://tagajo1300.com/event)も行われるようです。そこで、今月はこの『多賀城碑幷坪石碑図』(諸社諷歌抜粋)なる本をご紹介します。

 巻頭から2丁には歌の文言とその節を表している赤い記号が書かれています。2丁めの裏には「沢上鎮花祭哥□大竹政文秘蔵写し」とあり、秘伝の歌のようです。

 次には神事の時の祝詞らしき文章があります。「司中公文状 一 十五日 氏神 離宮院踏歌神事云々と題があり、カタカナで文章が書かれています。続く丁には香取坐斉主命(かとりにいます いわいぬしのみこと?)、伊豆国伊古奈比咩(いずのくに いこなひめ?)、三島明神という神様の名や神社の名が出てきます。その他、いくつかの宮の舞の歌というものが書かれており、神道に興味のある方には面白い資料かもしれません。

 

巻末にある図で示される石碑は創建1300年記念のウェブページ (https://tagajo1300.com/ )

でも紹介されています。また坪石碑は、坂上田村麻呂が「日本中央」としたという伝説を持つものですが、いろいろと謎を持つ石碑のようで、青森にもあるということです。

 

 

 図1  『多賀城碑ならび 坪石図』表紙

 

   図2 同本の巻頭

 

   図3 歌が崩し字と節の記号で、神事のときの祝詞がカタカナで書かれている。

 

   図4 諸社の舞歌が書かれる。

 

   図5 石碑の図のページ