2024.10.25
『多賀城碑ならび 坪石図』(諸社、諷歌抜粋)
今朝、電車の中で「多賀城創建1300年」というポスターを見かけました。これを見て、書庫の棚に「多賀城」の文字の入った本があったことを思い出したので、確認したところ、「つぼのいしぶみ」として、芭蕉も句に詠んだという石碑についての資料でした。ウェブで検索すると、宮城県多賀城市ではこの秋に多賀城南門の復元や記念行事、展覧会を用意していることがわかりました。
11月1日には「古代国家形成の上で重要な役割を果たし、宮城のはじまり、東北のはじまりとも言える「多賀城」の創建1300年を多くの方々と迎える記念式典」(同ウェブサイト https://tagajo1300.com/event)も行われるようです。そこで、今月はこの『多賀城碑幷坪石碑図』(諸社諷歌抜粋)なる本をご紹介します。
巻頭から2丁には歌の文言とその節を表している赤い記号が書かれています。2丁めの裏には「沢上鎮花祭哥□大竹政文秘蔵写し」とあり、秘伝の歌のようです。
次には神事の時の祝詞らしき文章があります。「司中公文状 一 十五日 氏神 離宮院踏歌神事云々」と題があり、カタカナで文章が書かれています。続く丁には香取坐斉主命(かとりにいます いわいぬしのみこと?)、伊豆国伊古奈比咩(いずのくに いこなひめ?)、三島明神という神様の名や神社の名が出てきます。その他、いくつかの宮の舞の歌というものが書かれており、神道に興味のある方には面白い資料かもしれません。
巻末にある図で示される石碑は創建1300年記念のウェブページ (https://tagajo1300.com/ )
でも紹介されています。また坪石碑は、坂上田村麻呂が「日本中央」としたという伝説を持つものですが、いろいろと謎を持つ石碑のようで、青森にもあるということです。
図1 『多賀城碑ならび 坪石図』表紙
図2 同本の巻頭
図3 歌が崩し字と節の記号で、神事のときの祝詞がカタカナで書かれている。
図4 諸社の舞歌が書かれる。
図5 石碑の図のページ